実は安定志向?エステ正社員の将来性と働き続けるコツ
「エステティシャン」と聞くと、華やかで、自由な働き方をイメージされる方も多いかもしれません。
フリーランスとして活躍する人も増えている昨今、あえて「正社員」として組織に身を置くという選択は、少し意外に思えるでしょうか。
実は、エステ業界における正社員という働き方には、見過ごされがちな「安定性」と、そこでしか得られない確かな「成長」があります。
こんにちは。
エステの現場に身を置いて20年以上になる高橋です。
今日は、変化の早いこの業界で、私がどのようにして揺るがぬ軸を見つけ、お客様と、そして自分自身と向き合い続けてきたのか、その経験を交えながらお話ししたいと思います。
「今の働き方でいいのかな」「将来が見えなくて不安」
そんな風に感じているあなたにとって、この記事が少しでも道しるべになれば幸いです。
エステ正社員という働き方の現実
エステティシャンとして働く上で、「正社員」という道を選ぶことは、どのような意味を持つのでしょうか。
まずは、その現実について、少し掘り下げて見ていきましょう。
業界内での正社員比率とその背景
エステ業界では、正社員以外にも、契約社員、パート・アルバイト、そして業務委託(フリーランス)といった多様な働き方が存在します。
厚生労働省の調査(令和5年賃金構造基本統計調査)によると、私たちエステティシャンも含まれる「生活関連サービス業、娯楽業」で働く女性のうち、正規の職員・従業員の割合は約34.4%というデータがあります。
これは全産業の平均と比べると、やや低い水準かもしれません。
背景には、技術を磨いて独立を目指す方が多いことや、ライフステージの変化に合わせて柔軟な働き方を求める方がいることなどが考えられます。
しかし、近年では大手サロンを中心に、福利厚生の充実や研修制度の整備を進め、正社員として安心して長く働ける環境づくりに力を入れる企業も増えてきているのですよ。
例えば、たかの友梨のような知名度と信頼度の高い企業では、未経験からでも世界の技術を学べる環境で社員として活躍できる求人募集もあり、新卒や第二新卒の方々にも門戸が開かれています。こうした情報は、エステティシャンとしてのキャリアを考える上で参考になるでしょう。
フリーと比較した雇用形態のメリット・デメリット
では、具体的にフリーランス(業務委託)と比べて、正社員にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
少し整理してみましょう。
項目 | 正社員 | フリーランス(業務委託) |
---|---|---|
収入 | 毎月安定した固定給、賞与(企業による) | 成果報酬型が多く、頑張り次第で高収入も可能だが不安定になるリスクも |
福利厚生 | 社会保険完備、有給休暇、産休・育休制度など充実 | 基本的になし(国民健康保険・年金に自己加入) |
研修・教育 | 充実した研修制度で未経験でも安心、キャリアアップの機会あり | 自己投資が必要、自分で学ぶ姿勢が不可欠 |
業務範囲 | 施術・接客に集中しやすい(集客や事務は分担)、チームで協力 | 施術から集客、経理まで全て自己責任 |
働き方 | 勤務時間・休日が固定、サロンの方針に従う | 比較的自由な時間・場所で働けるが、自己管理能力が問われる |
社会的信用 | ローン審査などで有利な傾向 | 正社員に比べると不利になる場合も |
どちらが良い・悪いということではなく、ご自身のライフプランや価値観に合った働き方を選ぶことが大切ですね。
「でも、正社員だと技術以外の成長は望めないんじゃ…?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、そんなことはないんですよ。
正社員だからこそ得られる「技術以外の学び」
私がこれまでの経験で実感しているのは、正社員、つまり組織の一員として働くからこそ得られる「技術以外の学び」の大きさです。
例えば、以下のようなスキルは、日々の業務の中で自然と磨かれていきます。
- チームワークとコミュニケーション能力:
他のスタッフと協力してお客様をお迎えし、サロン全体の目標を達成しようとすることで、自然とチームで働く力が身につきます。
お客様への細やかな心配りだけでなく、スタッフ間の円滑な連携も、心地よいサロン空間を作るためには欠かせません。 - 後輩育成や指導の経験:
経験を積むと、新人の指導を任されることもあります。
人に教えるということは、自分自身の技術や知識を再確認し、より深く理解する絶好の機会です。
相手に分かりやすく伝える力、モチベーションを引き出す力は、どんな場面でも役立つスキルと言えるでしょう。 - 店舗運営の視点:
日々の売上管理や在庫管理、お客様の声の分析など、サロン運営の一部を担うことで、経営的な視点が養われます。
「どうすればお客様にもっと喜んでいただけるか」「どうすればサロンがもっと良くなるか」を考える経験は、視野を大きく広げてくれます。 - クレーム対応や問題解決能力:
時には、お客様からのご指摘や予期せぬトラブルに直面することもあります。
そのような時、冷静に状況を把握し、誠意をもって対応する経験は、問題解決能力を鍛え、人間的な成長を促してくれます。
これらのスキルは、エステティシャンとしての専門性を高めるだけでなく、一人の社会人としても、あなたの大きな財産になるはずです。
正社員として長く働き続けるために必要なこと
「エステの仕事は好きだけど、ずっと続けられるか不安…」
特に正社員として働く場合、日々の業務に追われ、心身のバランスを崩してしまわないか心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、私が大切にしている「長く働き続けるための秘訣」をお伝えします。
メンタルと身体のセルフケア術
お客様を癒やす私たち自身が、心身ともに健やかでいることは、何よりも大切です。
身体のケアはプロ意識の表れ
立ち仕事が多く、時には同じ体勢での施術も続くため、身体への負担は少なくありません。
- 日々のストレッチや軽い運動:
私は、仕事の合間や帰宅後に、簡単なストレッチを欠かさないようにしています。
肩甲骨を回したり、首をゆっくり伸ばしたりするだけでも、ずいぶんと楽になりますよ。 - 質の高い睡眠:
睡眠不足は集中力低下や体調不良に直結します。
寝る前のスマホ時間を減らし、リラックスできる環境を整えることを意識しています。 - バランスの取れた食事:
身体は食べたもので作られます。
忙しくても、できるだけ栄養バランスを考えた食事を心がけることが大切です。
心の声に耳を澄ませて
お客様の心に寄り添うためには、まず自分の心が満たされている必要があります。
- オンとオフの切り替え:
仕事のことは一旦忘れ、趣味に没頭したり、大切な人と過ごしたりする時間を作りましょう。
私は、休日に美術館を巡ったり、自然の中で深呼吸したりすることで、心をリフレッシュさせています。 - 小さな「できた」を積み重ねる:
日々の業務の中で、何か一つでも「今日はこれができたな」と感じられることを見つけてみてください。
お客様からの「ありがとう」の言葉も、大きなエネルギーになりますよね。 - 信頼できる人に話す:
悩みや不安を一人で抱え込まず、同僚や上司、友人など、信頼できる人に話してみることも大切です。
言葉にするだけで、気持ちが整理されることもあります。
「無理なく、無駄なく、機嫌よく。」
これは私がいつも心に留めている言葉の一つです。
自分自身を大切にすることが、結果としてお客様へのより良いサービスに繋がると信じています。
信頼される人間関係の築き方
エステサロンという職場は、お客様はもちろん、同僚や上司との人間関係も非常に重要です。
心地よい環境で、長く働き続けるためには、信頼される人間関係を築くことが不可欠と言えるでしょう。
お客様に対しては、
1. 丁寧なカウンセリングと傾聴の姿勢を忘れないこと。
お客様が本当に求めていること、言葉にならない想いを汲み取ることが、信頼の第一歩です。
2. プロフェッショナルとして、誠実なアドバイスをすること。
時には、お客様のご要望が最善ではない場合もあります。その際は、専門家としての知識と経験に基づき、正直にお伝えすることも大切です。
3. 結果を出すための技術力と、安心感を与える心配りを常に磨き続けること。
これが、お客様からの「またあなたにお願いしたい」という言葉に繋がります。
そして、共に働くスタッフに対しては、
- 基本的な挨拶や感謝の言葉を大切にする。
- 報告・連絡・相談を密に行い、情報を共有する。
- お互いの良いところを認め合い、尊重し合う。
- 陰口や不平不満は、チームの雰囲気を壊すだけでなく、自分自身の心も曇らせてしまいます。
良い人間関係は、一朝一夕に築けるものではありません。
日々の小さな積み重ねが、大きな信頼へと繋がっていくのです。
「なりたい自分」を更新し続けるキャリア設計
「このままでいいのだろうか…」
キャリアを重ねる中で、ふと立ち止まり、将来について考える瞬間は誰にでもあるものです。
大切なのは、「なりたい自分」のイメージを定期的に見直し、更新し続けること。
キャリアの節目で考えること
例えば、入社して数年が経ち、一通りの業務をこなせるようになった頃。
あるいは、中堅として後輩の指導も任されるようになった頃。
そんなキャリアの節目節目で、一度立ち止まって考えてみましょう。
- 今の自分にできることは何か?
- これからどんなスキルを身につけたいか?
- 5年後、10年後、どんなエステティシャンになっていたいか?
目標設定と行動計画
具体的な目標が見えてきたら、それを達成するための行動計画を立ててみましょう。
- 資格取得を目指す:
認定エステティシャンなど、専門性を高める資格に挑戦するのも良いでしょう。 - 新しい技術を学ぶ:
興味のある分野のセミナーに参加したり、社内の研修制度を活用したりする。 - 得意分野を深める:
フェイシャル、ボディ、脱毛など、自分の得意な分野をさらに追求し、専門性を高める。
「10年後の“なりたい自分”に会いに行く」
これは私がエステを通じてお客様にお伝えしたいことでもありますが、私たち自身にも言えること。
常に学び続け、小さな目標をクリアしていくことで、未来の自分への期待感が生まれます。
それが、仕事を長く続けるための大きなモチベーションになるのではないでしょうか。
それでも迷うあなたへ:転職・独立との向き合い方
正社員としての道、フリーランスとしての道、あるいは全く違う業界への道。
人生には、様々な選択肢があります。
「今のままで本当にいいの?」と迷いが生じるのは、あなたが真剣に自分のキャリアと向き合っている証拠です。
ライフステージに応じた選択肢とは
私たちの人生は、結婚、出産、育児、あるいは家族の介護など、様々なライフステージの変化と共にあります。
その時々で、働き方に対する考え方や優先順位が変わるのは自然なことです。
例えば、子育て中は、勤務時間や休日に融通がききやすい職場を選んだり、一時的にパートタイムに切り替えたりすることも一つの選択です。
大切なのは、その時々の自分にとって、何が一番大切かを見極めること。
そして、それに合わせて柔軟に働き方を見直していく勇気を持つことです。
独立を選ばない理由、選んだ先輩たちの声
「いつかは自分のサロンを…」と夢見る方もいらっしゃるでしょう。
独立開業は、大きな魅力がある一方で、相応の覚悟も必要です。
私がこれまでお会いしてきた中で、独立を選ばず、正社員としてキャリアを築いている先輩方からは、こんな声を聞くことがあります。
「安定した環境で、施術やお客様と向き合うことに集中したい」
「チームで目標を達成する喜びや、後輩を育てるやりがいを感じる」
「福利厚生や研修制度が整っている安心感は大きい」
一方で、独立して自分のサロンを経営している先輩たちは、
「自分の理想とする空間で、お客様一人ひとりに深く関われることが何よりの喜び」
「大変なこともあるけれど、全て自分で決めて進んでいける自由さが魅力」
と、生き生きと語ってくれます。
どちらの道にも、それぞれの輝き方があります。
大切なのは、周囲の声に流されるのではなく、あなた自身の心の声に耳を傾けることではないでしょうか。
「安定」と「挑戦」を両立させるマインドセット
「正社員は安定しているけれど、挑戦する機会は少ないのでは?」
そう思われがちですが、私はそうは思いません。
組織の中にいても、新しい技術の習得に励んだり、お客様への新しい提案を考えたり、後輩育成に力を注いだりと、日々の中にはたくさんの「挑戦」の機会があります。
大切なのは、「安定」を「停滞」と捉えるのではなく、「安心して挑戦できる土台」と考えること。
安定した基盤があるからこそ、思い切って新しい一歩を踏み出せる。
そんな風に捉えてみてはいかがでしょうか。
働き方を見直す時に役立つ問いかけ
もし今、あなたがご自身の働き方に迷いを感じているなら、一度じっくりと自分自身に問いかけてみてください。
答えは、あなたの中にきっとあります。
今の職場で「育っている」と感じられるか
日々、新しい知識や技術を学べているでしょうか。
昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも成長できている実感はありますか。
人間関係や仕事の進め方など、技術面以外でも学びがあると感じられますか。
「育っている」という実感は、仕事へのモチベーションを維持する上でとても大切です。
お客様と自分、どちらも大切にできているか
お客様に心からの笑顔と最高のサービスを提供するためには、まず自分自身が満たされている必要があります。
仕事に追われて、自分の心や身体の声を聞き逃していませんか。
お客様を大切に思う気持ちと同じくらい、自分自身を大切にする時間を持てていますか。
両者のバランスが取れてこそ、真のプロフェッショナルと言えるのかもしれません。
5年後の自分に誇れる選択かどうか
今の働き方、今の選択は、5年後のあなたが振り返った時に、「あの時、こう決断して良かった」と心から思えるものでしょうか。
目先の条件や状況だけでなく、少し長い視点で、自分のキャリアと人生を考えてみてください。
未来の自分に胸を張れる選択をしたいものですね。
まとめ
エステ業界における「正社員」という働き方は、一見すると地味に映るかもしれません。
しかし、そこには確かな「安定」と、日々の業務の中で着実に「成長」できる環境があります。
大切なのは、「安定=停滞」と捉えるのではなく、それを自分らしく輝くための土台と考えること。
そして、常に「なりたい自分」を心に描き、その実現に向けて一歩ずつ準備を重ねていくことです。
この記事が、あなたのキャリアを考える上での小さなヒントとなり、未来の自分に安心して手渡せるような、素晴らしいキャリアを築いていくための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
あなたのエステティシャンとしての道が、これからも輝き続けることを心から願っています。
最終更新日 2025年9月10日 by ahoboke